「火の無い所に煙は立たぬ」と言いますが、当然例外もあります。
自分に全く思い当たる節がないのに、相手からこじつけのような理由で責められたことはありませんか?
また、自分に当てはめて考えてみて下さい。
例えば、冷静に考えると疑わしいことがなくても、何となくといった「カン」で妻や夫、彼氏彼女の浮気を疑ったことはありませんか?
もしかしたら、長年の経験で培った洞察に基づく「カン」で、意外と当たっていることがあるかもしれません。または、それがポジティブな思い込みによるものであるなら問題ありません。
しかし、自分の場合も、相手の場合も、「浮気を疑う」といったネガティブな根拠のない思い込みをしている時は、注意が必要です。
相手との関係をこじらせるばかりか、自分自身が浮気をしてしまう可能性もあるのです。
根拠のない思い込みは要注意
心理学の用語に、「投影(投射)」という言葉があります。
投影は、自分の中に受け入れがたい感情や欲望があると、それを自分の中から排除し、他の人にその悪い部分を押し付ける心の働きのことです。
では、これを現実に当てはめて考えてみましょう。
根拠もなくパートナーから浮気を疑われた場合は要注意です。なぜなら、パートナーが浮気願望を抱いている可能性があるということに他ならないからです。
そのような場合には、例え浮気をしていなかったとしても、自分の言動に反省点がなかったか思い返してみて下さい。
関係がマンネリ化していて、相手の話を適当に聞き流す、常にスウェットで身だしなみも整えないなど、相手に異性として意識されないような言動に心当たりがある場合はすぐに改めて下さい。
本当に浮気されてしまうかもしれません。
また、自分が相手を疑う場合でも、本当に疑わしいのか、自分の願望ではないか、一旦冷静になって自問してみて下さい。
勢いに任せて相手を責めてしまうと、自分のせいで関係をこじらせて、最終的に別の人と浮気する、といったことに発展しかねません。
また、被害妄想で「相手から信頼されないような気がする」といった場合などは、自分が相手を信頼していない可能性も考えられます。
このようなケースでは、自分の気持ちを否定するのではなく、しっかり受け止めたうえで、相手を信頼できるよう努力することで、解決できることもあります。
他にも、いじめなども、投影が原因の一因であることがあります。自分の受け入れたくないネガティブな部分を、相手の特徴だと思い込み責めるのです。
投影を活用し自分を見つめなおす
人が投影を行ってしまうのは、自分の心を安定に保つための「防衛機能」の一つなので、誰にでも起こりうることで、なかなかコントロールすることが難しいです。
しかし、投影という心理的な働きがあると知ることで、自分の欠点に気づけたり、様々なトラブルに発展する前に対策を打つことができます。
例えば、何となく嫌いな相手がいる場合、どこが嫌いなのか具体的に挙げてみます。そして、「いつも自分の話ばかりしているところ」「人の話を聞かないところ」など嫌なところが見つかったら、それが自分に当てはまらないか考えてみるのです。
もし思い当たる節があれば、それは自分で意識していなかった自身の欠点であるため、改善しようとすることができるようになるのです。
また、デートなどで「相手が飽きてないか?」と気になった時は、自分が退屈してないか考えてみたり、対して歩いてないのに、相手から「疲れてない?」と聞かれたら、本当は相手が疲れているのではないか、といったようなことまで考えを巡らせることができれば、些細なすれ違いを防ぐこともできます。
おわりに
人間の心理とは不思議なもので、自然と湧き上がってくるので自分で制御することは困難です。
しかし、どのような場面でどういった心理が働くということを理解していると、自分の気持ちに気づけたり、適切な対処をすることができます。
自分がヤキモチが強く、相手の浮気を疑ってしまう場合は、自分自身の願望ではないか?と一歩引いて自分を見つめてみて、軽率な行動に走らないようにしましょう。