素人でもわかる!システマティックレビュー、メタ分析をわかりやすく解説

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システマティックレビュー、メタアナリシス

最も信頼性の高いとされているデータや根拠に「システマティックレビュー」、「メタ分析」があります。

では、「システマティックレビュー」、「メタ分析」とはどういったものなのでしょうか。

言葉は聞いたことがあっても、具体的にどういったものかについて正確に理解している人は少ないと思います。

そこで今回は、システマティックレビュー、メタ分析について、わかりやすく解説していきます。






システマティックレビュー

システマティックレビューとは

一般的なシステマティックレビューとは、文献をくまなく調査し、そのデータを総括して評価した科学研究(論文)、方法、総説(レビュー)を指します。

主に、医学・薬学系の分野で用いられ、治療や薬が実際に患者に対してどの程度有効であったかを図る指標となります。

例えば、インフルエンザに有効な治療法の場合は、世界中のインフルエンザに関する研究結果を漏れがないように集めます。

その中には、病院での実際の治療結果(臨床結果)や、実験室レベルでのインフルエンザウイルスに対する実験結果も含まれます。

当然、それぞれの研究結果は、研究の条件、結果も異なりますが、なるべく共通する研究、比較できる研究に分類し、評価します

研究結果を評価していると、実験室レベルではAという薬の方がBという薬よりインフルエンザウイルスに効果があるという結果になっていても、実際にそれぞれの薬をインフルエンザの患者に投薬した場合、薬Bの方が効果が高いという結果が出ることもあります。

その場合、実験室での検証条件は妥当か?効果があったという患者はどういった患者か?など、様々な条件を考慮し、分析・評価することで、最も信頼できる治療法は何かということを論じたものになります。

また、医療の分野においては、治療と予防に関する医療情報を定期的に配信するための組織「コクラン共同計画」に基づくシステマティックレビューも行われており、一般的なシステマティックレビューと違い、コクラン共同計画では情報収集の仕方など方法が厳密に定義されているといったとくちょうがあります。

エビデンスレベル

エビデンスとは、「根拠」「証拠」のことで、日常ではあまり使われませんが、学術分野や業界用語として使われます。

医学や保険診療分野におけるエビデンスは、治療方法の効果を示す証拠や検証結果、臨床結果のことを指します。

エビデンスが示された検査法や治療法においても、エビデンス自体がどれくらい信頼できるものかといった指標となる「エビデンスレベル」というものがありますが、

エビデンスレベルが高ければ高いほど、エビデンスの信頼度が高いということを意味し、システマティックレビューは、メタアナリシスと並んで、最もエビデンスレベルが高いものとなります。

豆知識
臨床とは、以前は医学、歯学などの医療の分野において、実際に病人を診療・治療することを指していましたが、今では心理学・教育学・社会学・法学などにおいても、医療・教育・カウンセリングなどの介入を行う「現場」などを指すようになっています。

システマティックレビューの特徴とは

システマティックレビューは、ただ単に適当に多くの文献を集めて評価すれば良いというわけではありません。

次の点を押さえていることが重要になります。

  • 文献に漏れがないようくまなく調査する事
  • 出版バイアスのようなデータの偏りを取り除くこと

文献に漏れのないことはもちろん大事ですが、もう一つのデータの偏り(バイアス)がないことも大切なのです。

ここでのバイアスとは、真の値からの系統的な偏りを指します

バイアスがかかると誤った結論になりかねないため、このバイアスが可能な限り排除された研究は質が高いとされています。

では、なぜデータの偏り(バイアス)が生じるのでしょうか?

例えば、バイアスの一つに、出版バイアス(公表バイアス)があります。

出版バイアス(公表バイアス)
否定的な結果が出た研究は、肯定的な結果が出た研究に比べて公表されにくいというバイアス(偏り)である。

Wikipedia:「出版バイアス

有効性の認められなかった臨床試験などの否定的な結果は、発表を差し控えたり、雑誌投稿の査読段階で除外されることが多いのです。

実際の治療において、自分の患者に対する治療がうまくいかなかったという結果になったとしたら、医者や病院自身の信頼を落とすことにもなりかねないので、なかなか論文や雑誌などには発表しにくいのです。

そのため、有効性が良かった研究結果ばかりが偏って集まり、本来の有効性を正確に評価しにくい状況になってしまうことがあるのです。

そのため、このようなバイアスを減らすための評価法(ファンネルプロット)が行われることが好ましいのです。

メタアナリシス(メタ分析)

メタアナリシスは、メタ分析、メタ解析とも言われ、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析の手法を指します。

ランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスは、根拠に基づく医療において、システマティックレビューと並んで最も質の高いエビデンスとされています。

因みに、ランダム化比較試験(RCT)とは、臨床研究において治療の有無で比較するためのグループ分けが無作為に行われた研究を指します。

メタアナリシスについても、システマティックレビューと同様の「バイアスの影響を極力排除すること」や、「評価基準を統一した多くの研究結果を数量的、総括的に評価すること」がポイントになってきます。

システマティックレビューとメタアナリシスの違いは?

では、「システマティックレビュー」と「メタアナリシス」は何が違うのでしょう?

どちらも、多くの情報を集めて評価するという点では同じです。

実は、システマティックレビューの定義は様々に行われており、欧米では多くの場合、「システマティックレビュー」という言葉が、「メタアナリシス(メタ分析、メタ解析)」と同義語で用いられているのです。

一方、IOMという米国の研究機関では、システマティックレビューとメタアナリシスは同義語とはしておらず、システマティックレビューを以下のように定義しています。

システマティックレビューとは「特定の問題に絞って、類似したしかし別々の研究の知見を見つけ出し、選択し、評価し、まとめるために、明確で計画された科学的方法を用いる科学研究。別々の研究からの結果の定量的統合(メタアナリシス)を含むことも含まないこともある」
 
豆知識
IOM(Institute of Medicine)とは、米国医学研究所のことであり、1970年に設立された独立非営利の学術機関。研究会開催や報告書発行によって、健康や医療に関する議会や政府への助言を行っている。

実際にはメタアナリシスを伴わないシステマティックレビューも存在し、システマティックレビューではないメタアナリシスもありうるので、完全な同義語ではないという考え方が妥当だと思います。

では、どういった点が違うのでしょう。

これは、メタアナリシスでは統計解析の手法を使う定量的統合であるが、システマティックレビューはその限りではない、という点から、以下のように考えることができます。

  • システマティックレビュー:
    定性的なデータも含めた網羅的な評価(統計解析の有無によらない)
  • メタアナリシス:
    定量的なデータの統計解析手法を用いた評価

因みに、定量とは「数値・数量であらわせるさま」を指しますが、定性とは「数値・数量であらわせないさま」を指します。

例えば、臨床での効果では、その程度に関しては必ずしも数値化しにくいものもあります。その場合は定性的な評価になってくるのです。

まとめ

  • システマティックレビュー、メタアナリシスとは、文献をくまなく調査し、そのデータを総括して評価した科学研究(論文)、方法、総説(レビュー)
  • システマティックレビューとメタアナリシスは、同じ意味で使われることもあるが、システマティックレビューは定性的で網羅的な評価であるのに対し、メタアナリシスは統計解析法を用いた定量的な評価であることから、完全な同義語ではないとする考え方もある。

医学や薬学などの学問分野では、使われる用語が複数の意味に解釈されないように、専門用語が多用された複雑な表現になっており非常に理解しにくいものが多いです。

しかし、内容自体は意外とシンプルであったりすることもあるので、難しそうだからと敬遠せずに、理解しようと試みることから始めてみましょう。

参考文献:
ライフサイエンス出版:「システマティックレビュー
Minds:診療ガイドライン作成マニュアル「第4章 システマティックレビュー
今更聞けない医学統計の基本:「第1回「臨床研究の種類と特徴」