ブルーライトは身体に悪いだけなのか?メリット、デメリット、適切な使い方とは

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この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

こんにちは、リベルタです!

先日、ちょっと見たくない記事を見つけてしまいました。

「スマホのブルーライトで失明早まる可能性、研究」
(YAHOO!ニュース)

失明って……怖いですよね。

普段スマホもパソコンもよく使うので、とても無視できない記事です。

ますます「スマホの使用を控えよう」「ブルーライトはカットすべき」といった風潮が加速しそうです。

でもちょっと考えてみて下さい。

ブルーライトって太陽光にも含まれていますが、本当に身体に悪いだけなのでしょうか?

そんなことはありません。当然ブルーライトはメリットもあります。

そこで今回は、ブルーライトについてお話したいと思います。

そもそもブルーライトって何?

ブルーライトとは、文字通り青く見える光のことです。

学術的に言うと、人の目で見ることができる可視光線の中で最も波長の短い光になります。

ちなみに、可視光線の波長範囲は400~800nmの間と言われており、ブルーライトの波長は380~500nmです。

波長が短いほうが、エネルギが大きくなるという関係があるため、ブルーライトはエネルギーの強い光となります。

そしてブルーライトより波長が短くなると、人の目には見えない紫外線になります。

ブルーライトのデメリット

目に対する悪影響:眼精疲労、失明

冒頭で紹介した記事「スマホのブルーライトで失明早まる可能性、研究」によると、次のようなことが分かったそうです。

  • 米国のトレド大学の研究で、デジタル端末のブルーライトで目の光受容細胞にとって有害な物質の発生が誘発されることが判明
  • 光受容細胞が死滅すると、視野の中心部に影響を与える黄斑変性症の進行を早める可能性がある
    ※参照 「スマホのブルーライトで失明早まる可能性、研究」  ←参照記事削除されております

既に50歳以上の約7人に1人はこの兆候が見られるとのことで、将来的な失明が迫っていると考えると恐ろしいものがあります。

記事の中では「暗い場所の方が瞳孔が開きブルーライトの影響を受けやすいので避けるように」とされていますので、特に寝る前のスマホなどはやめた方が良いでしょう。

これまでもブルーライトが眼精疲労の原因となることは知られていましたが、疲労するだけでは済まないという可能性が指摘されたのです。

睡眠の質を下げる

現代人の睡眠の質を下げる要因の一つは、寝る前のパソコンやスマホ利用によるブルーライトの影響です。

ブルーライトを浴びると、睡眠に必要なホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制されてしまうので、睡眠の質が落ちてしまうんですね。

また、メラトニンは肥満や心臓疾患などの原因になるという研究もありますので、寝る前のブルーライトは避けたほうが良いでしょう。

ハーバードのメディカルスクールなどの研究では、就寝前の室内灯を見るだけでもメラトニンが50%以上抑制されてしまった、という報告もあります。
参照 「Exposure to Room Light before Bedtime Suppresses Melatonin Onset and Shortens Melatonin Duration in Humans 」

ブルーライトのメリット

さて、スマホを始めとするデジタル機器だけでなく、太陽光にも含まれているブルーライトですが、人に対してメリットもあります。

体内時計を調整する

体内時計のことをサーカディアンリズムと言いますが、ブルーライトはこのサーカディアンリズムをコントロールする役割を果たしています。

逆に、ブルーライトでサーカディアンリズムをコントロールしないと、不規則な睡眠などが原因の心身の不調「社会的ジェットラグ」という状態になってしまうのです。
参照 「Social jetlag: misalignment of biological and social time.」

良質な睡眠のためには「朝一で日光を浴びたほうが良い」と言われていますが、その理由はブルーライトによるサーカディアンリズムの調整を意図しているのです。

カフェインと同等以上の覚醒効果

スウェーデンの中部大学の研究では、カフェインとブルーライトが人間の認知機能や注意力に及ぼす影響を評価しており、いくつかの反応試験ではカフェインよりブルーライトの方が正確さや反応性が向上するという結果が得られています。
参照 「A Comparison of Blue Light and Caffeine Effects on Cognitive Function and Alertness in Humans」

覚醒のためにカフェインが入ったコーヒーなどを飲む人はいますが、ブルーライトも刺激が強いので覚醒作用も強いようです。

脳が活性化する

ハーバード大学の研究で、暗い部屋でオレンジのライトを30分浴びるグループと、ブルーライトを30分浴びるグループに分けて、ディスプレイに表示される文字を見た時の応答を見る「N-バック課題」を評価したところ、ブルーライトを浴びたグループの方が反応速度が速く、また、脳の前頭前野が活性化したという結果もあります。
参照 Exposure to Blue Light Increases Subsequent Functional Activation of the Prefrontal Cortex During Performance of a Working Memory Task

ブルーライトは一種の脳トレのような効果があり、作業パフォーマンスも上げてくれます。

「ブルーライト=悪い」と思い込み、ブルーライトカットのシートなどを使用している人は、このブルーライトの恩恵を逃してしまっているのです。

運動の効率が上がる

スイスのバーゼル大学の研究で、強いブルーライトと室内光くらいのライトを用いて、運動前だけ光を浴びたグループ、運動前と運動中に光を浴びたグループで、運動のパフォーマンスを調べたところ、「運動中も光を浴びたグループ」「室内光よりもブルーライトを浴びたグループ」の方が運動パフォーマンスが良くなるといった結果になっています。
参照 「Dose–response relationship between light exposure and cycling performance」

ブルーライトを運動中に浴びるというのは難しいかもしれませんが、室内光でも十分効果はある、というような結果になっているので、太陽の光を浴びたほうが運動効率は上がりそうです。

リラックス効果?

ブルーライトなどの青色の照明は「人の精神状態を穏やかにする効果がある」と言われており、犯罪抑制や自殺防止などの目的で一時期取り入れられてきましたが、その一方、効果には懐疑的な声も多くあります。

最近では、スペインのグラナダ大学の予備研究で、青色の照明がストレス後のリラックス効果を促進するという報告もされています。
参照 「Blue lighting accelerates post-stress relaxation: Results of a preliminary study」

ただ、ブルーライトで「覚醒」と「リラックス」という一見相反する両方の効果が本当に得られるのかは、まだ疑わしい部分があるので、今後の研究動向を見守りたいと思います。

ブルーライトはなぜ悪者にされるか

ブルーライトのメリット、デメリットを紹介してきましたが、なぜかデメリットばかりに注目されて悪者にされてしまいます。

メリットよりデメリットの方が知れ渡っている

ブルーライトのデメリットに「眼精疲労など目に対する悪影響」「睡眠の質を低下させる」というものがありますが、どちらも多くの人が抱えている悩みでもあります。

そのため「原因の一つはブルーライトだ」となると、「ブルーライト=人体に有害な物」と印象付けられてしまい、たびたび悪者として取り上げられてしまうことが原因だと考えられます。

また、ブルーライトのメリット自体を知らない人も多いと思います。

ブルーライトの効果を知らなければ、自身に覚醒作用などの効果が表れても、

「今日は目が冴えてるな、良く寝れたからかな」

などと別の要因だと思ってしまうでしょう。

紫外線と混同される

紫外線もブルーライト同様、紫外線ならではのメリットというものがありますが、皮膚がんや日焼けなど人体に有害な面ばかりがフォーカスされています。

「紫外線=人体に有害」といイメージを持っている人も多いと思いでしょう。

ブルーライトと紫外線は「波長の短い光」という点では共通しているので、混同されてしまい悪い印象が強くなっている可能性もあります。

ブルーライトを浴びないとどうなるか

ブルーライトだけの影響と断定はできませんが、白内障により水晶体が濁りブルーライトが透過しづらくなった人などは、睡眠障害を伴うイライラやうつ症状などが多く見られることも報告されています。

人々の健康と密接な関わりを持ちつつあるブルーライトの人体への影響を医学的に検証することを目的に、ブルーライト研究会が設立されました。ブルーライトに関する、情報、研究結果、活動記録などをこのサイトで公開していこうと考えています。

ブルーライトを適切に使うには?

さて、ここまでブルーライトのメリットデメリットを紹介してきましたが「結局どうすれば良いの?」という話です。

結論からすると、現時点では、

「昼間はブルーライトを過剰に気にする必要はないが、夜は浴びないほうが良い」

となります。

睡眠研究などでもよく聞く話ですが、やはり「スマホやパソコンを寝る前はいじらない」というのは、大切なことかもしれません。

スマホであれば、ブルーライトをカットする設定やアプリは入れておいた方がいいでしょう。

パソコンでも「f.lux」というソフトを使えば、時間帯でブルーライトをカットすることができます。

また、ブルーライトをカットする眼鏡やサングラスを使うという方法も有効で、睡眠の質を改善するという研究結果もあるため、夜間だけ使うというのは有効だと思います。

おまけ:ブルーライトを使ったセラピー

ブルーライトによるサーカディアンリズムのコントロールを利用した、面白い製品があります。

「「AYO/アイオ(アヨ)」ライトセラピーゴーグル」といって、日中に身体のダルさを感じた時に、ブルーライトを照射することで覚醒するという製品です。

ブルーライトをカットする製品が多数販売され、ブルーライトは目に良くないといったデメリットが注目されている中、あえてブルーライトを目に照射するという発想は面白いです。

ブルーライトは適切に使えば有効ですが、人体にマイナスの影響があることも事実です。

少なくとも寝る前に大量に浴びるのは良く無いということは間違いないですが「ブルーライト全般が悪」と一方的な思い込みをしないように注意してください。