心理学は役に立たない?心理学をうまく使いこなせない4つの理由!使いこなすコツも紹介

こんにちは、リベルタです!

時間というのは有限です。私は、その限られた時間をなるべく有効に使いたいと考え、仕事や勉強などに対して、最適化、効率化を常に意識していました。

しかし、ある時、壁にぶつかりました。

頭で考えている通りに行動できないのです。

効率化するためには、今のうちに行動しなくてはいけないとわかっているのに、行動できないのです。

『なぜ思った通りに行動できないのだろう?』この疑問をきっかけに、自分の中で最適だと思う行動すらもできない人間の心理に興味を持ち、本や論文などを読み漁っています。

心理学は学び始めると面白いもので、様々な場面で応用できます。人間の心理に関する学問なので、特に対人関係で悩んでいる場合などに有効です。

『人間関係を良くしたい』『相手を操りたい』といった理由から心理学を学び始める人も多いでしょう。

しかし、心理学を学び始めた初心者が陥りやすい罠があります。

簡単に相手を操れるような錯覚を起こすのです。

これは心理学系の本の表現やテレビの影響だと思います。

心理学の入門書のような書籍でも「人を操る」「悪用禁止」「心を読む」など、あたかも相手を簡単にコントロールできるような表現が多用されています。

そして、テレビでメンタリストのDaiGoさんのような専門家が、実際に人の考えを見透かすようなパフォーマンスを披露していると、自分もできるかもと思ってしまうのです。

しかし、心理学テクニックを試したことがある人はわかると思いますが、そんな簡単に使いこなすことはできません。

逆に、心理学をちょっとかじったくらいで相手をコントロールできるようになってしまったら、世の中が大変なことになってしまいます。

今回は、心理学を応用することの難しさ、有効活用するためのコツについてお話ししたいと思います。

心理学をうまくつかいこなせない理由

心理学を学ぼうと思った時に、本から学ぶ人も多いと思います。

本には心理効果の説明や、応用例などがちょこっと載っていますが、具体的に「どのような場面でどうやって使えばいいか」といった肝心な部分の詳細はほとんど書かれていません。

しかし、それはある意味当然です。

心理テクニックが有効な場面や状況はちょっとしたことで変わってくるからです。

そして、そのことを理解せずに、表面的な知識と独自の解釈で応用するから失敗するのです。

そこで今回は心理学を学び始めた人が陥りがちな失敗理由についてお話します。

効果を過信する:誰にでも有効な手段というわけではない

例えば、有名な心理効果に「吊り橋効果」というものがあります。

人間は恐怖の時に感じる生理的興奮のドキドキと性的興奮のドキドキを区別できないので、吊り橋のようなドキドキするような場所で告白するとOKをもらえる可能性が高くなる、というものです。

さて、この効果を見た人は、何でもいいからドキドキする場所で告白した方が成功しやすいと考えるでしょう。

大まかな解釈はそれで問題ありません。

ポイントは「成功しやすい」「OKをもらえる可能性が高くなる」という点です。

確実に成功するわけではないのです。

しかし、勉強始めたばかりの人は、大事な部分を見落としており、

「吊り橋効果を利用したのにうまく行かなかった⇒心理学は使えない」

と結論を下してしまいます。

実際にこの吊り橋効果の検証実験でも、全ての人に効果があったわけではありません。

実験は、被験者の男性に橋の上で女性がアンケートを取り、後日何人が電話をかけるかといった方法で検証していますが、揺れる吊り橋と揺れない橋での違いは次のようになっています。

  • 揺れる吊り橋:18人中9人が連絡
  • 揺れない橋:16人中2人が連絡

確かに、揺れる吊り橋の方が、揺れない橋よりは効果はありそうですが、揺れる吊り橋でも50%の割合でしか連絡していないのです。

この結果は、「50%の人には有効でない」「もしかしたら効果はあったかもしれないが行動に現れるレベルではない」と解釈することもできるのです。

他にも、嘘を見破る方法として「相手が鼻を触ったら嘘をついているサイン」と書いてある心理学の本もあります。しかし、鼻を触ることが癖の人には、この嘘のサインは使えません。

心理効果は「統計的には有効」というレベルの話なので「誰にでも当てはまる」「確実に効果がある」というわけではないのです。

そこを誤解するとまず間違いなく失敗します。そして、心理学が役に立たないと思い込んでしまうのです。

相手や状況によっては使えない場合がある

例えば、自分の要求を通すために使える心理学テクニックに「ドアインザフェイス」というものがあります。

「最初に大きなお願いをして断らせてから、小さな頼みごとを承諾してもらう」というテクニックです。

しかし、このテクニックも使いどころを間違えば全く効果がありません。

例えば、職場で部下に1時間の残業をさせたくて、「ドアインザフェイス」を使って残業をお願いする場合で考えてみましょう。

最初に大きな要求として「3時間の残業」を提案し、断られたら「1時間の残業」をお願いするという方法です。

これは相手が『特に予定はないが残業したくない』という場合には有効かもしれません。

しかし、相手にどうしても外せないプライベートな用事が入っている場合はどうでしょう。

当然断られます。

その日は、残業の時間云々の問題ではなく、残業自体がNGだからです。

このテクニックはお店での値引きなどでも応用できますが、その場合でも、話しかけた店員さんが値引きの権限を持っていなかったら全く意味がありません。

頼み事が有効な相手かどうか、有効な状況かどうかを見極める必要があるのです。しかし、現実では有効性の判断が難しい場合も多々あります。

例で挙げた残業の例でも、残業を断る部下から「ちょっと今日は用事があって」と言われたら、本当に用事があるのか、それともただの言い訳なのか、用事があったとしても少しくらい遅れてもいい用事ではないか、といったことはわからない場合も多いでしょう。

このように、心理テクニックを活かすためには、いくつかの条件を満たすことが必要なケースなどもありますが、そのことを把握していないとうまく行かないのです。

心理テクニック同士の効果が干渉する場合

心理効果の中に初頭効果、親近効果というものがあります。

  • 初頭効果:最初に示された特性が記憶に残りやすく、後の評価に影響を与える
  • 親近効果:最後に示された特性が記憶に残りやすく、後の判断に影響を与える

この二つは一見すると相反する心理効果なので、使い方を間違えると狙った効果が得られないことがあるのです。

例えば、初頭効果を説明するのによく使われるのが、社会心理学者のアッシュが行った以下の実験例です。

性格を表す形容詞の見せる順番を変えるだけで、その人物に対する印象がどのように変わるかを評価したところ、最初にポジティブなイメージを提示した人の方が好印象となった、というものです。

  • 人物A:知的・勤勉・衝動的・批判的・頑固・嫉妬深い
  • 人物B:嫉妬深い・頑固・批判的・衝動的・勤勉・知的

人物Aは「欠点はあるけで能力のある人」と好印象に評価され、人物Bは「能力はあっても欠点があり能力が発揮できない人」と悪い印象になった。

この例を見て、初頭効果を使った方が好印象になると思い、以下のように紹介したらどうでしょう。

「私は真面目で勤勉だけど嫉妬深いです」

初頭効果での好印象を狙ったはずなのに、最後の「嫉妬深い」というマイナス面のほうが印象に残りませんか?

これは、「だけど」といった接続詞の使い方によって、その後ろに続く「嫉妬深い」のほうが強調されてしまい、親近効果を相手に与えてしまったのです。

使い方を間違えると、自分の狙った心理効果を相手に与えることができないのです。

心理テクニックは、複数を組み合わせて使う方が効果を挙げられる可能性が高くなりますが、例外もあります。

心理学には「ランチョン・テクニック」というものがあり、食事中に交渉すると食事の満足感と、相手に対する満足感を混同してしまい、相手に好感を持つ、交渉がうまくいきやすくなるといった効果があります。

しかし、ある実験では、食事中に「ドアインザフェイス」を使うと、交渉の成功率が下がるという結果になったのです。

上記の例のように、適切に心理テクニックを使わないと、全く心理効果がなかったり、自分の意図しない心理効果が優先されマイナスの結果になってしまうこともあるのです。

心理効果を無理やり当てはめようとする

心理学を学び始めたばかりの時は、相手のちょっとしたことも、自分が学んだテクニックに当てはめて考えようとしてしまうものです。

その結果、思い込みにより逆に心理テクニックを有効に活用できなくなってしまうことがあるのです。

ミシガン大学で行われた実験で、嘘を見抜く心理分析の方法を教えた被験者と、何の情報も与えていない被験者に、テストのカンニングを疑う教師と疑われている生徒の映像を見て、どの生徒が本当にカンニングしたか見抜いてもらいました。

すると、心理分析の手法を学んだグループの方がカンニングした生徒を見破ることができなかったのです。

ちょっと心理分析の手法を学んだだけの素人には、生徒が無実で問い詰められている時の動揺と、嘘をついた時の動揺を見抜けないどころか、深読みしすぎてしまい間違った判定に繋がってしまったのです。

このように、中途半端な知識による思い込みはマイナスにもなるのです。

心理学を効果的に使いこなすには

複数の心理学を使いこなす

一つの心理テクニック単独で、効果があると思っているかもしれませんが、複数の心理テクニックを組み合わせたほうが効果的です。

例えば、嘘を見抜くサインでも、一つの兆候だけでは、嘘をついているのかただの癖なのかは判断できません。

瞬きが多い、やたらと口を触る、早口になる、出口に身体が向いている、などいくつかのサインから複合的に判断することが重要です。

心理学の基礎について理解する

前述の失敗例は、心理効果についてよくわかっていない、知識不足によりうまく行かないケースがほとんどです。

例えば、心理学を知っている相手に心理テクニックをしかけていることが伝わってしまったら効果はありません。しかし、そのことを知識として知っていなければ『なぜうまくいかないのか』がわかりません。

この心理テクニックを使うためには、何がポイントでどのような条件が必要かといった基本的な部分を押さえておく必要があるのです。

自分なりにトライ&エラーを繰り返す

心理テクニックを活用しようとするならば、自分なりのトライアンドエラーは必須です。

多くの心理学の入門書に載っている内容は、海外での実験だったり、実験自体がかなり古いものが多いです。そして、心理学の実験においては、実験当時の生活環境、時代背景、考え方も結果に影響している可能性が高いです。

例えば、イケメンの悪質な詐欺事件がニュースで報道されたとします。

もし、容疑者に似たイケメンが学校や職場に配属されたら、ハロー効果によってそのイケメンの性格が良いと判断されるでしょうか?

詐欺師っぽいと思われるのではないでしょうか。

人間の心理には普遍的なものもありますが、外部からの環境などで影響を受けやすいものもあると思います。

そのため、本で得た知識を自分の周りの環境で使ってみても、そのままではうまく行かないケースもあります。自分なりに周囲の人間や環境に合わせて多少アレンジする必要があるのです。

まとめ

心理学を知らなくても、経験的に嘘を見抜けたり、交渉事を有利に運んだりすることができることもあります。

しかし、理屈や理論が分かっていないと再現性よく活用することができません。

心理学を学び適切に使うことができれば、様々な場面で自分の思い通りに物事をコントロールすることができるようになる可能性が高くなるのです。

そして、自分が心理テクニックをうまく使えていると知った時はそれなりの快感も得られます。

少しでも、興味がある人は、表面的な知識で満足するのではなく、少し深く学んでみてはいかがでしょう。

因みに、江戸川乱歩の「心理試験」という小説では、心理学の応用方法について多少描かれています。短い内容ですが、心理試験を行う上でのちょっとした注意点等も載っているので、参考にしてみて下さい。