こんにちは、リベルタです!
学校や職場などで何か新しいものを学ばなくてはいけなくなる場面って沢山ありますが、そんな時は、なるべく短時間で効率的に学びたいと思いますよね。
そのため、手軽に情報収集できるネットを使うという人もいるでしょう。
しかし、専門的な内容の場合やしっかり学びたい場合は、情報の信頼性がより高い専門書などの書籍を使って勉強する必要が出てきますが、その場合でも、より短時間で効率的に読み進めるために「速読」する人もいるでしょう。
また、最近では、オーディオブックのような本を読むのではなく音声を聴くというサービスが普及してきたので、音声での学習がメインという人もいると思います。
その場合でも、時短&効率化のために、速読と同様に速く聴く「速聴」を使っている人もいるでしょう。
私も「速聴」という方法に早くから飛びつき、学生の頃からかなりの時間試してきましたが、あくまで、時短&効率化の手段の一つとして取り入れていました。
しかし、「速聴」には、「速聴」すること自体の効能効果を謳っているサイトも沢山あります。
そこで今回は、速聴の効能効果や、実践方法などについてお話ししたいと思います。
- 短時間で効率的に学習したい
- 速聴に効果について知りたい
速聴とは?
まず、基本的なことですが、速聴とは、文字通り「速い音声を聴くこと」です。
「聞く」ではなく「聴く」という点がポイントになります。
- 聞く
「噂話を聞く」「物音が聞こえる」のように、声や音などが自然に耳に入ってくる場合 - 聴く
「講義を聴く」「音楽を聴く」のように、自分から積極的に耳を傾ける場合
ただ単に「速い音声が聞こえている」状態ではなく、「速い音声を聴くこと」が速聴と言えると思います。
何倍速から速聴というのは厳密に決まっていませんが、1.1倍とか1.2倍のように、標準より早ければ「速聴」という言葉が使われているようです。
因みに、人が理解力を落とさずに聴きとれる速度は、英語だと1分間に210語程度だと言われています。
速聴の科学的効果
脳トレでおなじみの東北大学の川島教授らの共同研究で、被験者に正文と誤文に関する文章の理解問題を、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍の速さで聴かせて、脳の活性化を測定したところ、速聴時のほうが被験者の脳の前頭葉が活性化するという結果が得られています。
参考文献:Brain activation during rapid listening with an fMRIstudy
また、少し古い研究ですがミネソタ大学の研究では、通常の測度で音声学習した生徒より、約1.7倍速のデータで音声学習した大学生の方が、学習時間が短かったにも関わらず、試験で好成績を示したという結果もあります。
これらの結果のように、速聴は脳トレや学習に有効な可能性があるという科学的なデータがあります。
しかし、注意しなくてはいけないのは、その効果の程度までは明確になっていない点です。「速聴は絶対に効果がある」と信じ込むのは早計だと思っています。
『効果があるかもしれない』『効果があったらラッキー』くらいの位置づけで考えておくくらいがちょうど良いかもしれません。
なぜ学習効果があるとされているのか
速聴関連のサイトを見ると、「記憶力が上がる」「集中力が上がる」「理解力が上がる」など速聴には「頭がよくなる」といったような効果があると紹介されていますが、その理由は大きく二つあります。
前頭葉の活性化
上述した、研究のように、速聴により脳の前頭葉が活性化されることが一つの要因です。
前頭葉は、思考・想像・判断などを司る部分でもあるので、「頭が良い」「頭の回転が速い」とされている人ほど前頭葉が発達しています。
ミズーリ大学の実験でも、小学生に速聴させたところ知能の高い子の方が高速音声の理解度が高い、という結果が得られていることなどから、次のように考えられていると思います。
「頭が良い人は前頭葉が発達している」⇒「速聴では前頭葉が活性化する」⇒「速聴を続ける=頭が良くなる」
ウェルニッケル中枢の刺激
ウェルニッケル中枢とは、大脳の一部で知覚性言語中枢とも呼ばれています。そして、このウェルニッケル中枢を含む言語を処理する領域を刺激すると「頭の回転が速くなる」とされているのです。
人は、読んだり聞いたりした言葉を頭の中で繰り返す「追唱」することで、ウェルニッケル中枢を通して言語として理解されます。そして「追唱の速さ」が「理解の速さ」「頭の回転の速さ」に繋がると考えられています。
そのため、速聴によりウェルニッケル中枢などを刺激し追唱速度を上げることで、「頭が良くなる」「頭の回転が速くなる」とされているのです。
速聴にお勧めのサービス
一昔前は、速聴のための専門書を購入し、付属の専用CDやカセットテープなどでなければ倍速再生ができなかったので、速聴するための内容を選ぶことはできませんでした。
私は英語の勉強で以下の本を聴いていましたが、同じものをひたすら聞き続けていると、自然と記憶してしまい、聞かなくても内容が分かってしまいます。
最近では、オーディオブックスというサービスで、自分の好きな本を速聴することができるようになっています。
オーディオブックとは、簡単に言うと本をプロのナレーターが読み上げてくれる音声サービスで、代表的なものに「audiobook.jp」「Audible」があります。
Audibleのサービス内容が近々変更になるので、現時点ではどちらが良いかの比較は難しいですが、簡単に概要を紹介します。
どんな内容でもいいから、ただ単に「速聴をする」というだけでは、集中力も続かず速聴で期待される効果も得られないと思います。自分が好きな本、学びたい本を使って速聴のメリットを最大限に活かせるようにしましょう。
audiobook.jp(旧Febe)
audiobook.jpはオトバンクが運営するサービスで、定額で聴き放題のサービスがあります。
様々なジャンルの本をたくさん聴きたい人にはお勧めです。
- 定額聴き放題のサービスがある(750円/月)
※聴き放題の対象になっている本は限られている - 定額サービスの対象でない本でも個別に購入することができる
- 再生速度が0.5~4倍まで調整可能
Audible
AudibleはAmazonが提供するサービスです。
これまでは定額聴き放題のサービスのみでしたが、2018年の8/27からは聴き放題サービスがなくなり、定額1500円/月で毎月一つ入手できるコインと交換で好きな本を購入するというシステムになります。
ざっくりいうと、聴き放題ではなく、好きな本を個別に購入できるということです。
Audibleのメリットは、何といってもAmazonが運営しているというところです。これまでの定額聴き放題では、対象書籍は限られていましたが、聴き放題でなくなると対象の書籍が増えると考えられます。
- Amazonが運営
- 再生速度が0.75~3倍まで調整可能
速聴のポイント
私自身、速聴の効果で「頭が良くなる」ということについては懐疑的な部分もありますが、速聴自体は場面によっては有効な学習手段だと考えています。
具体的な方法としては、1.5倍速、2倍速、3倍速のように自分が聴きとれる範囲で再生速度を速くして行くという方法がスタンダードです。
速聴はすでに英語学習などで取り入れられていますが、私なりの速聴を行う上でのポイントも含めて学習での活用法を紹介します。
短時間で集中して行う
速聴を始めたばかりの場合は、速い音声を聴こうとして意識を聴くことに集中しますが、ある程度速い音声を聴くことに慣れると、集中しなくても速い音声を聴きとれるようになります。
すると、頭で別のことを考えながらでも何となく聴きとれる状態になってしまいます。
退屈な授業や講義と一緒で、音声としては耳に入っているけどその言葉の意味を考えていない、理解しようとしていない状態です。
しかし、折角の速い音声も、単なるBGMとなってしまったら効果はありません。
実際に速聴を試してみたらわかると思いますが、慣れてくると言葉を聴きとれるようになり、意識を向ければ内容も理解することができるようになりますが、ボーっと聞いているだけでは聞き終わった後に内容の詳細は思い出せません。
『英語の音声をシャワーのように効き続けると、英語が理解できるようになる、話せるようになる』という宣伝文句もありますが、それは、「意識を音声に向けている場合」という前提があるはずです。
そして、人間の集中力は長時間は続きません。
そのため、速聴で学習する際に最も重要なことは、
短時間で集中して聴く
ということです。「聞く」ではなく「聴く」じゃないと意味はありません。
運動しながら行う
速聴に限らず、オーディオブックを用いて学習することの大きなメリットの一つに「動きながら学習できる」という点があります。
本を使った学習では、周囲に注意を配れなくなるので、屋外を歩いての学習には不向きですが、オーディオブックでは歩きながらでも本よりは危険が少なくなります。
運動が記憶の定着率を上げることは多くの科学的データがあるので、取り入れない手はありません。
ただ、一点注意点があり、運動と速聴を組み合わせる場合は、マルチタスクになり効率が落ちてしまう可能性があります。
そのため、運動と組み合わせる場合は、運動には意識を集中しなくても良い環境を選ばなくてはいけません。
お勧めは、周囲に気を配る必要がないような大きな公園などを歩くことです。
繰り返し聴く
速読にも共通する話ですが、短時間で内容を理解しようとする場合、最初から順を追って読み進めるより、ざっと全体の内容を掴んでから各項目の重要となりそうな部分にポイントを絞っていったほうが理解度が上がります。
そのため、通常速度でじっくり1回聴くより、2倍速、3倍速で一旦全ての内容を聴いてから、自分なりに重要なポイントを理解したうえで再度聞き直す方が、効率よく必要な情報を掴むことができます。
また、初めてでは気づかなくても、2回目、3回目と繰り返し聴くことで気づくこともあるので、速聴をする場合は、繰り返し聴くことも活用しましょう。
他の学習の補助手段として使う
速聴を始めとした音声学習は、もちろん効果的な部分もありますが、その反面次のような欠点もあります。
- 全ての内容が同じように耳に入ってくるため、重要な部分、苦手な部分を重点的に学習するには向いていない
- 気になった部分を後で聞き直そうとしても、該当部分を探すのが難しい
- 集中力が続きにくい
特に、集中力を維持するのは難しいようです。音声である分気楽に聞けますが、目や手が自由な分他の情報を同時に取り入れることもできてしまうことが原因だと考えられます。
科学的にもオーディオブックでは、本より記憶の定着率が低いという実験もあります。
ウォール大学の研究では、音読、黙読、オーディオブックの3パターンでの学習が、集中力、記憶力、内容への関心に及ぼす影響を評価したところ、オーディオブックが最も集中力が続かず、内容を覚えていない、内容に対する関心も薄いという結果になっているのです。反対に最も効果的だったのは音読でした。
参照 「The way we encounter reading material influences how frequently we mind wander」
そのため、速聴単独で学習するのではなく、本と組み合わせて行う方が良いと思います。
本で学習しながら、疲れてきたら、気分転換も兼ねて速聴しながらの散歩で復習する。または、移動時間などに速聴で一旦全部聞き終えてから、気になった部分を本で重点的に学習する、といった方法が効果的だと考えられます。
速聴に適した学習
速聴では、聴きとりながら考えるのは難しいので、当然、思考力が求められる学習には向いていません。
既に取り入れられているように、語学の学習や暗記系の学習に向いていると考えられます。
語学学習
特に、私の実感として英語などの語学の学習には適していると思います。
例えば、ネイティブの速い英語が聞き取れない理由の一つに「文章を頭の中で翻訳してから理解する」ということが挙げられますが、速聴で英語を聴いていると、単語を拾うのでやっとなので、頭の中で翻訳している暇がありません。
そのため、日本語に翻訳せず自然と聞こえたままの単語から意味を理解しようとするようになるからです。
また、速い速度に慣れてくると、通常の速度が遅く感じるようになってきて単語がしっかり聴きとれるようになってきます。この効果はあまり長続きせず、速聴を辞めて少し時間が経つと元に戻ってしまいますが、ある程度身につくまで速聴を続ければいいだけの話です。
暗記系の学習
暗記系の学習の場合は、覚えたい内容をひたすら聞き続けていると自然と覚えられるようになってきます。
速聴であれば、短時間で繰り返し聴くこともできるので、時間の節約にもなります。
しかし、BGMとしてひたすら聞き続けても効果は薄いので注意しましょう。
おわりに
「速聴」の効果や活用方法についてお話ししました。
私自身は、「速聴」自体の脳への効果などについては実感できていないので何とも言えませんが、学習方法として速聴を取り入れることは有効だと思っています。
また、速聴を学習の中に取り入れる際のポイントをいくつか紹介しましたが、何よりも大事なことは集中して聴くことです。集中できるか否かが、速聴の効果が出るかどうかを左右します。
また、学習に限らず、小説などの趣味の読書の代わりに「速聴」を取り入れることで、より多くの作品に触れることもできるといった利点もあります。
私はむしろ、趣味の読書で様々なジャンルの本を読むための時短&効率のために利用している感じです。
もし、興味があったらぜひ試してみて下さい。
速聴で再生速度を速くした時は音質も重要になってきますので、音に集中できるようにノイズキャンセリングイヤホンを使うことをお勧めします。私の一押し商品は、ワイヤレス接続が可能で、イヤホン間のコードもないソニー製のイヤホンです。