これまでの人生の中で、『美女やイケメンは得しているなー』と思ったことはありませんか?
私は、外見的魅力に優れている人を見ると『色んな人にちやほやされて、さぞ人生楽しいだろうなー』と思っていました。
では、実際、外見の差はどれほど人生に影響するのでしょうか?
調べてみたところ、外見によってもの凄く大きな差がでること、様々な面白い研究があることが分かったので、今回は、外見の重要性、研究について紹介します。
外見で性格や能力は判断される
カナダの心理学者カレン・ディオンなどの研究によって、次のことが分かっています。
- 人は外見で性格や能力を判断する
- 外見が魅力的な方が性格が良いと評価される
- 外見が魅力的なほうが社会的にも成功を収めるとみなされやすい
なぜこのように判断するかというと、その人に目立った特徴があるとき、その評価をその人全体の評価に広げてしまう「ハロー効果」が原因だと考えられています。
「あんなに爽やかなんだから仕事ができるはず」「すごく可愛らしいから性格も良いはずだ」といったように、外見が魅力的であれば、その「魅力的である」という評価に引っ張られて、内面までも魅力的に評価してしまうのです。
さて、この事実を目の当たりにして、『今更どうしようもない』『イケメン生まれたかった』と思ったあなた。
諦めるのはまだ早いです。
外見や見た目というのは、容姿やスタイルだけでなく、表情や姿勢、服装、清潔感といった雰囲気など様々な要素があるので、自分の努力次第で変えることができます。
某有名な監督も名言を残しています。
『諦めたらそこで試合終了ですよ』と。
外見に関する研究は以下の記事にまとめていますので、参照ください。
外見が収入に影響
容姿と収入に関する研究例
コーネル大学のレビューの中では、MBAを取得したビジネスマンの外見と収入を調査したところ、外見が魅力的な人の方が、10~15%年収が高かったという調査結果が報告されています。
参照 May the Best (Looking) Man Win: TheUnconscious Role of Attractiveness in Employment Decisions
また、シカゴ大学が行った調査では、大学卒業からの13年に渡り14600人の男女の魅力度と服装を評価し、収入との相関関係を見たところ、平均的な人より魅力的な人の方が約20%収入が多いということがわかっています。
参照 Gender and the returns to attractiveness
また、労働経済学者のダニエル・S・ハマーメッシュによると、1970年代のアメリカ人を対象にした調査で、容姿が優れている人の方が、男性で17%、女性で12%収入が高いというものがあります。
しかも、調査の収入差を生涯賃金に換算すると、容姿の違いにより2700万円も差が出るということになるのです。
しかも、美しさと収入に関する類似の研究はその他の国にも存在しており、容姿が優れているほうが収入が良くなるという結果になっているそうです。
少し古い研究もあるので現在にもそのまま当てはまるかは不明ですが、容姿が異なるだけで、年収で20%、生涯賃金で2700万も差が出る可能性があると考えたら、『なんて理不尽な!』と思いませんか?
しかも、ダニエル・S・ハマーメッシュは、上海の調査で、服や化粧、髪型などに気を使っても効果は小さかったという結果等を引き合いにだし、美容にお金をかけることの費用対効果は低い、と言っています。
要するに、外見の魅力度が低い人は、美容にお金をかけても、元々外見の魅力度が高い人ほどの経済的メリットを得ることは難しいということを言っているのです。
夢も希望もないですね。
ただ、現在では整形技術も上がっていますし、「詐欺メイク」のようなある種のブレイクスルーによる著しいメイク技術の進歩も見られますので、必ずしも美容に力を入れることが効果に繋がらないとは思いませんが。
なぜ外見で収入格差が生じるか
能力の差
外見の魅力的な人は、前述のハロー効果で周囲から能力も高く評価されやすい傾向にあります。そのように、周囲から期待されることで、自然と本人も良い結果を生み出せるようになるピグマリオン効果の影響かもしれません。
人は期待されると、モチベーションや自信が高まるので実際に良い成果を出しやすくなります。これをピグマリオン効果といいます。
教師に期待されている子供は実際に成績が良くなる、有能だと思われていると本当に優れた結果を出すということです。
しかも、このハロー効果やピグマリオン効果は、時間とともに強くなるという説もあります。
有能と思われたり期待されることで、自分の能力を活かす場面やチャンスが増え、その結果、自身が芽生えたりポジティブになって本当に優秀な人間になるのです。
また、自己評価は他人の外見に応じて変化します。人は自分評価を自己観察だけではなく、他人との比較や評価などの相互作用で決めるのです。これを社会的比較理論と言います。
アメリカの心理学者のモースとガーゲンらが行った実験によると、被験者である大学生に、優等生風の恰好をした学生と、劣等生風の恰好をした学生と同じ部屋で、自己評価に関するアンケートを行ったところ、優等生風の学生と同室の学生は自信を失ったのに対し、劣等生風の学生と同室の学生は自信を向上させたのです。
外見が魅力的な人の方が、普段から人に見られる頻度が多いため、外見に気を遣う人が多くなります。そのため身だしなみも整っていることが多く、その結果、容姿の優れていない人との対比で、余計に自信をつけるのです。
チャンスや評価の差
外見が魅力的な人は、ハロー効果やピグマリオン効果の恩恵を受けることができるため、能力が高く評価される、または実際に能力が高くなります。
そのため、大事な仕事を回してもらえるチャンスが増えたり、仕事の成果に対する評価も良くなる傾向になることが、出世のスピード差、収入差に繋がっているためと考えられます。
人間は本能的に美男美女を好みます。
マサチューセッツ大学の実験では、赤ちゃんでも美男美女の写真の方が長時間眺めるという結果もあり、後天的ではなく、先天的に美男美女を好む性質が備わっているようです。
同じくらいの成績であればつい可愛い子の方に甘い評価をしてしまう、かっこいい人にはチャンスを与えたくなる、というのは会社や学校などで良く見られる光景ですし、心情的にも理解できます。
一つ一つは小さいかもしれませんが、長い人生の中でこの小さな積み重ねが続くことで、大きな差になってしまうのではないでしょうか。
もてる、人気が出る
当然、外見が魅力的な人の方が、異性にモテるし人気があります。
ただ、残念なことに、『モテる』ために、重要な要素の中で、外見的魅力が占める割合が非常に大きいということが証明されているのです。
有名な実験に、アメリカの心理学者エレイン・ウォスルターらが起こなった『コンピューター・デート実験』というものがあります。
大学の新入生向けのパーティーで、参加者に性格テストを受けてもらい「コンピューターで最適な相手を見つける」と言ってランダムな相手に引き合わせ、もう一度デートしたい相手の特徴を調査しました。
その結果、性格や外向性は関係なく、外見的魅力が大きな影響力を持っているという結果が得られたのです。
また、イースタン・コネチカット州立大学で行われた実験では、男性の「容姿」と「モテやすいと言われている性格」をランダムに組み合わせたプロフィールを女性に見せて、魅力的と感じる男性を選んでもらったところ、モテやすい性格を備えているのにも関わらず、容姿が優れていない男性は評価が低いという結果が得られました。
参照 The Importance of Physical Attractiveness to the Mate Choices of Women and Their Mothers
イケメンや美女が『モテる』というは、誰もが理解しています。
それがどれほど大事か、ということをわざわざ確認するような実験をするというのが面白いですよね。
同時に、なんて理不尽な世界なんだと思ってしまいます。
おわりに
何となく外見が重要だと思っていましたが、外見の違いによる影響を実験で検証したり数値で比較されたりすると、いかに外見が重要かということが分かりますよね。
容姿に関しては、生まれつきなのでどうしようもない部分はありますが、身だしなみや清潔感などは自分の努力次第で変えることができます。
『美男美女はいいよなー』と妬むだけではなく、自分を高めるよう努力しましょう。